今回のテーマは話題のノーベル賞についてだ。
中村修二教授がノーベル物理学賞を受賞したわけだが、この出来事についてネット上では一悶着あった。
このツイッターを読んだ。
なお今回のノーベル物理学賞受賞で「日本もまだ捨てたもんじゃない!!」という声に溢れておりますが、青色ダイオードの主たる発明者の一人である中村修二教授は、数千億円もの利益を生んだ青色ダイオードの発明対価を認めなかった日本の司法に絶望し、日本を捨ててアメリカ国籍を取得しております。
— sekkai (@sekkai) 2014, 10月 7
現時点で既にリツイート数は16000回を超えている。
RTが必ずしも賛同を示しているとは限らないが、一定数の賛同者はいるのだと思う。
中村教授は元の勤め先である日亜化学工業との間で、青色LEDの発明に対する対価について争った過去がある。
その時の記者会見での歯に衣着せぬ発言があったりして、会社や司法に対して失望しているような発言が取り上げられたのだが、今回のノーベル賞受賞によってそういった過去の映像が報道などで再度使われていたりするから上記のつぶやきをそのまますんなり信じてしまう下地が出来上がっていたのだろうと思う。
2005年に日亜化学工業とは8億4000万円という和解金で裁判は終わらせている。
その後彼は米国籍を手に入れるわけだが、取得時期については今のところ報道に出てこないのでわからない。
国籍の話は今回の受賞に伴って出てきた話である。
中村教授の最新の声としてはこの記事が詳しい
この記事の中で彼は重要な発言をしている。
――米国籍を取得した理由は。
「こちらの大学で研究する上では、米国籍がないと軍の予算がもらえないし、軍に関係する研究もできない。それで市民権を取得した」
――日本人として受賞したことについてはどう思うか。
「もちろんうれしい。日本は小さな島国だが、今回3人も受賞したことは、日本人として誇らしく思っている」
この発言から分かる通り日本という国が嫌になって、あるいは絶望したからアメリカ国籍を取得したわけではないことがわかる。
米軍にまつわる研究に携わる場合、予算をもらうためにはアメリカ市民でなければならなかったから国籍を取得したわけだ。
最初に紹介したつぶやきはこの本人の発言によって否定される。
国際的に大きな評価を受けるような日本人が登場すると、今回のように繰り返される流言飛語。(今回の中村教授については、現時点では二重国籍の可能性が濃厚)
ネットは確かに便利なものなんだが、こういった不確かな情報も尾ひれをつけながら、ものすごい速さで出回ってしまう。
もうあきらめに近い感情ではあるものの、一応ネットの片隅から訂正情報を投げかけましたよ。
追記 10/08 23:35
なぜ現時点では二重国籍の可能性が濃厚と書いたかというと、インタビューにおける受け答えから、明らかに御本人は日本人であると意識していると感じたからです。
アメリカ市民権を取得して2年以内であれば、日本国籍は自動的に消失するわけではありません。
正式に日本国籍を抹消するには他国の国籍を取得したあと、日本国に対して自ら手続きをしなければなりません。
もしこれをやっているならば、自ら日本国籍を捨てる手続きをしているわけですからこのような受け答えにはならないと考えました。
なので現時点ではまだ法律的には2つの国籍を有している状態の可能性が高いと判断したため「二重国籍の可能性が濃厚」と書きました。
中村教授の国籍の話は今回の受賞に伴ってノーベル賞の事務局の発表で判明した話です。
米国籍をいつ取得したのか今の時点でははっきりしません。
この件につきましては今後の報道をまって、はっきりした時点で追記、訂正していきます。
参考
(国籍の喪失)
第十三条 外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を離脱することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を失う。
国籍法