ネットの海の渚にて

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宗教について考えた話

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今回は「宗教」について考える。

まず最初に断っておくがボクは宗教にまつわる学問を習ったことがないのでおそらく極々一般的な日本人的宗教観を持った人間だと思う。


「何か宗教に入ってますか」と問われたら「無宗教です」と答える。
ここで言う宗教とはシステム化された宗教のことでその団体には何かしらの名称がある。
新興宗教であれば○○教団なり○○学会などその特定の宗教を信仰している集団が存在してその集団を指し示す名称がある。
名称があるから内と外の概念が発生する。
そうなるとボクは特定の宗教団体に属していないから無宗教と答えることになるのだが信仰心が無いのかと聞かれればあると答える。



神の存在を信じているかという問いに対しては「いてくれたらいいなぁ」というレベルだし、たとえいなかったとしても特に困らない。
だからといって神を信じている人達を糾弾するつもりもないし好きにしてくれればいいと思っている。
熱狂的な一神教の信徒たちが言う「神」は信じるものは救ってくださるらしいがボクから言わせると神様の割に懐が狭いなあという感想だ。


ボクがざっくりとイメージしている神様はこんな感じだ。

どこか高いところにいて僕らの生活を見守っている。
悪いことしている者を見つけるとバチを与える。
高いところばっかりじゃなくて神社にもいる。
その辺の石ころにも宿ってる。
中にはぐうたらな神様もいる。
女好き酒好きでどうしようもない神様もいる。
気が向いた時だけ助けてくれる。

こんなイメージだから、本当にいてくれたらちょっとだけ楽しいし、いなくても特に困らない。

ボクと宗教はこういう距離感だがこの場合無宗教とは言えないと思う。
お守りを切り刻むことは心苦しいので出来ないし、他人のお墓だからといって墓石を蹴り倒すことなど絶対にできない。
宗教というものに救いを求めてもいないし今後もそれは変わらないだろう。
心の奥底では神も仏も信じていない。
だからといって罰当たりな行為はできない。
ボクと同じような立場を取っている方は多いと思う。

お正月は初詣に行き、2月には豆まきをして3月にはお雛様5月は五月人形をかざる。7月辺りには豊作を願う夏祭りに参加したり秋口になれば実りの感謝の祭りにも行く。12月にはキリストの誕生日をケンタッキーのチキンを食べながらお祝いする。
このすべてが「宗教」に通じているがそれを殆ど意識していない。

世界三大宗教は信仰する姿が非常にわかりやすい。
けれど僕らが無意識に信仰している「宗教」はあまりにも日常に溶け込みすぎてそれが宗教的な行為であることに気づきにくくなっている。
そして僕らが信仰している宗教には的確な「名称」が無い。
なかば強引に「日本教」等と呼ぶ人もいるがしっくりこない。
はっきりとした形や物が無いから名前が付けられない。
もっと言えばシステム化されていないからあまりにもぼんやりし過ぎていて実態がつかめない。
土着の宗教と外来の宗教が適度にからみ合って当時の日本人が都合よく混ぜあわせた結果、経典も教祖も存在しない良く言えばおおらかな宗教が出来上がった。
そのシステム化されていないまま信仰された「宗教」が現在へと続いているためシステム化された他の宗教に比べると果たして僕らは宗教を信仰しているのかと疑問に思う。
あきらかに宗教的な慣習が体に染み付いているのにそれを宗教と意識すらしないのはある意味では宗教の究極の完成形と言ってもいいかもしれない。


人間が猿から進化する途上で知恵を手にするがそれは同時に恐怖も手に入れたことになる。
自然の中で起こる様々な出来事を「理解」できないから「恐怖」に変わる。
暗闇や雷、日食や月食。山火事やあらゆる自然災害。
そういった事象を理解するために人類は「神」を発明した。
身に起こる恐怖や悲しみを「神」の仕業とすることで「理解」出来た。
理解することで恐怖と付き合う術を身に付けた人類はその後も新たに発見した事象を「神」の存在を利用して理解していく。
「神」は世界を宇宙を理解するのに都合が良かった。
何なのかわからないものというのは恐怖でしかない。
理解することで人類は恐怖や悲しみに打ち勝ってきた。

現在、世界や宇宙で起こる事象は「科学」によって次々と解明されている。
宗教が担ってきた「理解」を科学が肩代わりをしている。
未知の事象を解明するのは科学であるため宗教の役目は終わりを迎えているという考え方もある。
ニーチェが言った「神は死んだ」はその現象を表していると言えるかもしれない。

宗教の領域に科学が侵攻して神は滅ぶのか。
それはまだ誰にも分からない。

超訳 ニーチェの言葉

超訳 ニーチェの言葉