ネットの海の渚にて

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「職業に貴賎なし」をそれでも私は信じてるって話

ブルーカラーと一緒に仕事してると自分がどんどんブルーカラーに近づいていく気がしてブルーになるのでつらい - grshbの日記

読んだ。
彼はここで書いているようにブルーカラーの世界は「堕ちる」ものと認識しているらしい。
堕ちるというのは上下があって成り立つ現象だが、ブルカラーは下層に存在しているということを暗に示している。
職業に貴賎なしという言葉があるがそれは彼には通用しないようだ。

流石に大学に入ってくる人間だとそれなりにまともな人間が多くなってくるから、その手の人と接する機会がほとんどないんだけど、こういうブルーカラーの作業現場に入ると大学には絶対にいないような人種がいて面白い反面、もし自分がそういう世界に堕ちてしまったらと考えるとゾッとする。

彼のことはよく知らない。
けれどブログを読むと彼は現在大学生でいわゆるインテリ層に属しているのだろう。
もちろん確証は無いが。
彼の中では確実に職業には上層と下層の概念があってブルーカラーは蔑む対象として扱っているのが文章の端々から滲み出している。



職業の貴賎とは一体なにを要素に振り分けているのか。
弁護士や医者は「貴」で現場作業員や引越し業者は「賤」なのか。
その判断材料は何か。収入なのか?ならば与○翼は「貴」になるのかも知れないが私には分からない。

ホワイトカラーとブルーカラーは見た目のジャンル分けとしては使い勝手がいい。
イメージもしやすい。けれどそれは職業の貴賤では本来ないはずだ。

どうも彼は優秀な人間はホワイトカラーになり劣った人間がブルーカラーになり更にそこにも入れなかった惨めな人間が派遣になるという認識らしい。
そして自分も油断しているとブルーカラーに飲み込まれると危惧しているようだ。

ここからは多分すごい暴論なんですが、どうも、派遣で日雇いのバイトをやってると、彼のような「使えない人材」と呼ばれる人にエンカウントする確率が高いような気がします。今のような日雇い仕事をちょくちょくやるようになって半年くらいになるので、いろんな現場に入って仕事をしてきたんですが、二回に一回くらいの割合でそういう人が一人はいます。本来であれば彼のような人材としては質の低い人は登録前の面接でふるいにかけられるべきなのだろうと思いますが、会社のブランドイメージを優先できないほどに派遣業界も人材確保に苦労しているということなんでしょうか。

多分そういう人たちって普通に働こうと思ったら苦労すると思うので、受け皿として派遣スタッフくらいの仕事は開かれているべきなのかも知れないのでそれはいいんですが、彼らのように哀しみを背負ってしまった人がいるのもどうしようもないことだと思うんでそれを云々するつもりもないんですが、感覚として派遣やらブルーカラーの世界には彼らのような人たちが割合として多い気がして、そういう世界に身を浸しているといつの間にか自分もその方向へ寄って行ってしまうのではないかという恐怖があります。

学生時代に勉強をして努力した結果ホワイトカラーの仕事に就く。
学生時代、勉強などせず日々喧嘩ばかりしてブルーカラーの仕事に就く。
上記の例はこの国に腐るほど実存している。
どうも彼はブルーカラーはなりたくてなるものではなく仕方なくそこに収まるという考えらしい。


私の考えは違う。
適材適所なだけだ。
勉強が出来た者はそれを活かす職に就き、体力に自信のある者はそれを活かす職に就く。只それだけだ。

職業に貴賤は無い。
こんな事を書くと負け惜しみだ綺麗事だと揶揄されるだろう。
それでもいい。
私はブルーカラーの仕事に就いている方々に敬意を払っているし彼らの仕事を尊敬している。
それはもちろんホワイトカラーの方々に対しても同じだ。
全ての職に対して平等に敬意を払う。

彼がブログを書いているその部屋を作ったのもブルーカラーの人々だし、彼が勉学に励んでいるであろう大学もブルーカラーの人達がいなければ建設できなかった。
日々口にしている食物も土と格闘しているお百姓さんが育てたものだし、トイレでクソを流せるのも下水管を施設してくれた労働者のおかげだ。

ヨイトマケの唄 〜紅白歌合戦より〜 - YouTube

社会は様々な職業の相互扶助で構成されている。
当たり前の光景だが忘れがちだ。
まだ若い彼が職業に対して偏見を持っていることに苦言を呈したい。
凝り固まった価値観を捨てて世界を見れば違った景色も見えるはずだ。

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