今回は実験企画です。
ミィア猫さんのこの記事を読みました。
http://meerkat00.hatenadiary.jp/entry/20140213/1392288200
http://meerkat00.hatenadiary.jp/entry/20140213/1392288204
素人の私では難しい音楽の専門用語が頻出するにもかかわらず前編後編合わせて6000字超を難なく読んでしまいました。
おそらくそれは文章に込められた熱量がこちらに伝わってきたからなんだと理解しています。
そこで今まで私の趣味である魚釣りの記事を専門用語の多さから躊躇していたことを反省し、あえて一切の説明を排した状態で専門用語を乱発しても読んでもらえる事ができるのか実験したいと思います。
ですから今回はあえて専門用語を多用しています。
それでも「読んでやるか仕方ねぇ」という奇特な方がいらっしゃったら嬉しいです。
河口湖にて
5月のトップシーズン。
俺は河口湖の一級ポイントに立っている。
日が昇った直後、湖面からはうっすらと水蒸気が立ち込めている。
長年の相棒であるメガバスのF3-61Xにシマノの初代アンタレス。
相当にクセの強い竿とピーキーなリールだ。
今どきこんなタックルを使っている奴はそうそういない。
新しいもの好きの多いこの趣味において新製品かもしくは骨董的価値のあるオールドタックルのどちらかに偏ることが多い。
それでも俺はこの中途半端な古さのタックルを今でも使い続けている。
新しい竿もリールも使ったがやはり、手に馴染んだタックル以外を一番大事な朝一のキャストに使うつもりはない。
昨日の夜に巻き直したナイロンの20ポンドライン。俺はフロロもPEも使わない。
友人には20ポンドは太すぎると笑われるが関係ない。
昔から太いラインに硬い竿。デカイルアーを使いこなすのが俺の流儀だ。
通称ロイヤルワンドと呼ばれるこのポイントは確かに多くの魚がストックされている。
水面下にいくつかの湧水もあって環境もいい。
だからこそ良いポイントなのだがそれに伴って釣り人も多くなる。
当然魚はスレている。
普通であれば小さく弱いリグを使った釣りになるのだが俺は違う。
そういうセオリーを破るために河口湖に通った。
あえてヘドンのザラスプークをロイヤルワンドで使う。オールドの反りザラだ。
キャストもソフトランディングをせずにあえて強めの着水音を立てる。
アクションはできるだけ大きくしかも限りなく早くだ。
要はセオリーの正反対をやってみせるのだ。
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もちろん気の弱い魚は散ってしまうだろう。
それでも野生の本能をまだ捨て切っていない一部の魚はその攻撃性に火が着いて見たこともないような反応を見せる時がある。
鏡のような水面を激しくアクションするザラの真下から突き上げるようなバイト。
魚体を空中にさらけ出してしまうほどのアタックは釣り歴が20年を越える俺でさえ震えるほどに興奮する。
当たり前だがこんな乱暴な釣りが成立するのは朝一の数投だけだ。
いつまでもこんな釣りを許容してくれるほど河口湖はイージーではない。
だからといってフィネスなタックルに持ち替えるつもりはない。
今度はスピナーベイトにチェンジする。重さは1オンスだ。
1オンスのダブルウィローから発する波動はスレた魚に案外効く。
ボトムの溶岩帯をうまくトレースさせながら時にヒラを打たせる。
バイトはたいていその瞬間だ。
ぐっと抑えこむような感触が竿に伝わる。リーリングは止めずにそのままスイープにフッキングする。
魚は抵抗するが俺が使っているタックルはヘビーだ。なんなく引き寄せることができる。
俺が河口湖でオーバーパワーだと揶揄されるようなタックルを使っているのには理由がある。
河口湖の魚はとにかくスレている。
だからこそ他の釣り人がやらない場所を攻める。複雑に入り組んだ溶岩帯の隙間にラバージグをねじ込んだり、鬱蒼と繁茂するウィードの中に6インチジャンボグラブのテキサスを放り込んだりする。
8ポンドや4ポンドなんかの細いラインでは根がかった場合に回収できないし魚をかけた後ウィードに巻かれた場合に対処できない。
だからこそ俺は20ポンドのラインを使っている。
幾人もの仲間と一緒に釣りをしたが俺のやり方を見て考えを改めた者も数人ではない。
初心者に毛の生えた程度の友人は河口湖のセオリーを完全に無視した俺のやり方はある意味で衝撃的だったと思う。
彼にこんなスタイルもあるよと何度か説明はしたけれどやはりピンときていなかったが、彼の眼前でザラの5連続ヒットは何よりも説得力があったに違いない。
彼が次の釣行の際、ヘビーなタックルを新調していたのは言うまでもない。
新しいスタイルを構築するために河口湖に足繁く通っていたがその目的はほぼ達成した。
そのためここ5年ほどは山中湖ばかり行っている。
ここでもまた常識に反した新しいスタイルを模索中だがなかなか難しい。
桜の咲くころ俺はまた、胸まであるウェーダーを履いて山中湖のほとりに立つだろう。
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