ネットの海の渚にて

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WEB広告のマナーの悪さが広告嫌いを助長している

この記事を読んだ。
www.advertimes.com

それでこんなコメントを残した。

オーケー、認めよう。広告はもはや「嫌われもの」なのだ — LINE 田端信太郎 | AdverTimes(アドタイ)

いやもっと単純な話で、コンテンツ開くたびに強制的に広告が表示されたり、わざとタイミングをずらして上からとか下からスライドするバナーがあったりで、要は広告表示のマナーが悪すぎて辟易してるからだと思うよ

2017/05/15 14:29

この世に純粋に無料で提供されているサービスはほぼ無い。
ごく一部を除けば何かの形でマネタイズされていて、サービス提供者になんらかの見返りがあるようにできている。

こんな仕組みは小学生でもなければ自ずと知っていることであり、いまさら私が説明しなくてはいけないようなものではなく「常識」と言ってもい。


この仕組は当然WEBサービスでも行われていて、今読んでいただいているブログも同様の仕組みの中にある。
この記事を読むにあたってあなたに金銭的な負担は生じないが、広告が表示されるようになっている。
何百人かに一人がたまたまその広告に興味を持ってクリックすると、私に対して広告主から僅かばかりの謝礼が支払われることになる。

この僅かな謝礼によって私は次の記事を書くモチベーションになるし、読者は金銭的負担なくコンテンツを読むことができる。

これがいわゆる広告を介したエコシステムであり、このサイクルが正常に作用している間は言ってみれば好循環であり、誰も損をしない。
ところが近年のWEB広告はタガが外れたような表示のさせかたが一気に増えた。

スマホの普及に伴ってWEB業界全体に投入される広告費は年々増している。
このパイの取り合いが、クリック率を競う異常な状態の原因なのだろうと思っている。


一部のサイトではコンテンツを読もうとクリックするとそのコンテンツでなく、全面広告が表示されてどこかにある「スキップ」を押さないとコンテンツにたどり着けなかったりする。
あるいは、あえて誤タップを狙うかのようにタイミングをずらして、上からや下からスーッとバナー広告が現れたりする。
スマートフォンはPCに比べて圧倒的に画面が小さいのに、その半分くらいを追尾広告に占拠されたままコンテンツを読み進めていかなければならないこともある。

Wi-Fi環境下であれば問題ないだろうが、常々通信料を節約して使っている人が、強制的に動画広告を見させられたらそれこそその広告は憎まれることになる。


ユーザビリティを完全に無視して、強引に広告を表示させる方法を業界が切磋琢磨して進化させていった結果が広告嫌いを生み出しているのだと思う。

今のWEB広告業界は年々増える広告費によってある種のバブルになっている。
業者間で熾烈な獲得競争が繰り広げられていて、その一端が消費者の感情を無視したクリック率至上主義に走らせているのだろうなというのが見て取れる。

今のようにユーザビリティを無視して消費者に不快感を与えるような広告表示の競争を続けていたら、広告主のブランドイメージも下がるし、購買率が向上するようなことにはならない。

広告主に見せる「成果」として最もわかりやすい数字が「クリック率」や「表示率」なのだと思うが、そこばかりを競った結果が、一般消費者の広告に対するヘイトを募らせたわけで、この状態が続けば遅かれ早かれ広告主が危機感を持って広告を引き上げることになるはずだ。

自社の広告がどのような表示のされ方をしているかを調べず代理店に丸投げしていると、無作法な広告表示を黙認する企業として悪評がたつ可能性すらありうるわけで、今の現状を改善するには広告主の意識を変えなければならない。


もう一度繰り返すがこの世に完全無料で提供されるサービスは無い。
これは皆も十分わかっていて、何らかのサービスを受ける際に広告が表示されるのは納得しているはずだ。
しかしそれもあくまでマナーを守ってくれている範囲の場合であり、度を越した強制的な広告表示は不快感しか産まない。
そんな野放図な状態が続けば広告を排除するアプリを導入する人が増えても文句は言えない。
これが進めば広告を介したエコシステムは破綻して近いうちにこの循環は崩壊する。

もしそうなってしまったら多くのサービスが有料に移行するか、サービスそのものを閉じてしまうことになりかねない。
それは誰も得をしない世界なので、広告業界は今一度自らのやり方を見直していただくことをお願いしたい。