ネットの海の渚にて

私の好きなものを紹介したり日々のあれやこれやを書いたりします

スメハラというのは本当にハラスメント(嫌がらせ)と言っていいものだろうか?

最近各所でよく見かけるスメハラ(スメルハラスメント)。
いわゆる消費者に危機感や不安を訴えかける手法で何かを売るっていう昔から脈々と受け継がれている悪しき商慣習の一つで、夏場になると汗の匂いなどをことさら強調して「貴方の悪臭大丈夫ですか?」みたいに煽って制汗剤などを売ろうというやつ。

これがまあ私の個人的観測なんで正確な数値はわかならないけれど、特にここ数年はスメハラという言葉を多く目にするようになった気がする。

私が若い頃からエイトフォーのような、部活で汗をかいたあとに男女が一緒に下校するときに汗の匂いが気になるよねエイトフォーした方がいいんじゃない?みたいな、まだ甘酸っぱい青春な感じがしてギリセーフだと思ってたけど最近はその対象がもっと生生しくなって、仕事帰りの電車で汗かいてるオッサンとか、そういう主にオッサンが放つ悪臭をターゲットにしたスメハラという煽り方が目につくようになった。

私はまさにそのオッサンであるからスメハラで言う所の加害者側なのであろうけれどチョット言いたいところがある。

ハラスメントの定義
ハラスメント(Harassment)とはいろいろな場面での『嫌がらせ、いじめ』を言います。その種類は様々ですが、他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることを指します。
http://www.osaka-med.ac.jp/deps/jinji/harassment/definition.htm


この◯◯ハラスメントというのは、セクハラだとかパワハラだとか当たり前のようにやってますけどこれは犯罪行為に当たるハラスメント(嫌がらせ)なんですよ、ということで、広く世に注意喚起して自制を促すのは理にかなっているし、現にそういった啓蒙活動が功を奏して昭和時代に蔓延っていたような女性社員とすれ違いざまにお尻を触るような典型的なセクハラ事案はほとんど無くなったわけで、「◯◯ハラスメント」というわかりやすくてキャッチーな啓蒙方法はそれなりに効果があるのは確かだろうと思う。

けれど昨今のスメルハラスメントというのはセクハラやパワハラなどと同じくくりのハラスメントなのだろうかという疑問がある。
例えばワキガの人の場合は、それは体質であり誰かに嫌がらせをするために体臭を放っているのではない。
汗の匂いだってそうだ。
エアコンの効いた涼しい室内だけで仕事をしている人ならいいかもしれないが、外回りや肉体労働をしていれば汗をかくのは当然であり生理現象である。
これをあげつらって「臭い」「ハラスメントである」と言ってしまうのは流石に酷い。



ものを売るという立場に立つと、何かの不安を煽って商売につなげることが極めて効果的である。
だからといって体臭を「ハラスメント」つまり嫌がらせというレッテルを貼ってそれを一般化させてしまうのはいかがなものか。

もしこのスメルハラスメントというものの周知が進んで常識のようになってしまったとしたら、ワキガの人たちの悩みが今以上の苦しみに変わるのは想像に難くない。

そもそもセクハラやパワハラというのは犯罪やそれに限りなく近いもので構成されているが、スメハラと呼ばれるものの中に犯罪的な要素があるとはとても思えない。
体臭というのはその人の先天的な体質や仕事の内容によって生じてしまうものである以上、それをもって嫌がらせ呼ばわりするのは流石におかしいだろうと私は思う。