先日この記事でふるさと納税に感じていた疑問を書いた。
ふるさと納税によって税収減にはならないの?という疑問 - ネットの海の渚にて
様々な方に言及していただきました。
この場を借りて御礼申し上げます。
その中でもあざなわさんに言及してもらったこの記事。
ふるさと納税は誰得? - あざなえるなわのごとし
さすがあざなわさんという記事で私の記事より一段も二段も深く掘り下げて考察していただいた。
なので今回は別の角度から見たふるさと納税の疑問点を上げたいと思う。
ふるさと納税は自治体の手取りが減るのではという疑問
一回目の記事で書いたことを要約するとこうなる。
各自治体がふるさと納税を奪い合うことで競争が激化。
そのためにコスト(広告費やお礼の品の高騰、事務管理等の人件費)が増えることでせっかく取ってきたふるさと納税の手取りが減る可能性。
元々何もしなければそのまま住んでいる自治体に入る税金が、どこか他の自治体に寄付されるわけだから、日本全体で見た場合の「額」そのものは減らないけれど、諸々経費が掛かっているわけだから自治体に入る額は経費にかかった分が減る。
これは、そのお礼の品が地元の名産だったりするから、経費がかかったとしても地元にお金が回ることになって別ルートで増収になるから問題ないという建前があるんだろうと思う。
本来ゼロだったものを地元に引っ張ることが出来たのなら、その自治体としたら万々歳だ。
還元率が異様に高いお礼の品でも、それが地元企業のものだから雇用促進、税収アップを招いて経済が回るという仕組みなのは理解している。
ただしこの地元企業のモノを使うという部分に問題がある。
自治体という「公」が企業という「私」に対して利益を誘導している構図になるからだ。
今回の疑問はこの点だ。
ふるさと納税にまつわるあやうさ
前回の記事に引用した飯山市のケースを見て欲しい。
◆iiyama 21.5型ワイド液晶ディスプレイ
【寄付額】2万円以上3万円未満 【実勢価格】1万4000円
◆8型タブレットPC「WN801V2-BK」
【寄付額】4万円以上5万円未満 【実勢価格】2万5700円
◆15.6型ノートPC「LB-F511B-IIYAMA」
【寄付額】10万円以上20万円未満 【参考価格】6万9000円(※)
◆ミニタワーデスクトップPC「LM-iH301S-IIYAMA」
【寄付額】10万円以上20万円未満 【実勢価格】6万2400円
iiyamaといったら老舗のPCモニターの会社だ。
飯山市にふるさと納税をすると、このiiyama社(マウスコンピュータ)のモニター等がお礼の品としてもらうことができる。
当たり前だが飯山市はiiyamaからお礼の品を仕入れているはずだ。
飯山市という自治体は、私企業であるiiyamaに対して利益供与していることになる。
iiyamaの工場が地元にあるからというのが理由になっているのだろうけれど、これほどまでにわかりやすい利益誘導もなかなかない。
一般論になるが、こういう形の利益誘導が可能になると間違いなく腐る。
地元企業同士のお礼の品争奪戦が今後激化するのは明白だろう。
ふるさと納税のお礼の品の選定過程が、ガラス張りになっているのかというとそんなことはない。
どういう選定方法でその企業の品を使う事になったのかを、納税者はしっかりと監視しなければいけないし、自治体側はきっちり情報開示しなければならない。
(飯山市のケースに不正があったと言ってるわけではなく、ふるさと納税のわかりやすい例として使っているだけなので誤解なきようにお願いします)
ふるさと納税が今後どれだけ継続するのか不明だが、今のままのシステムで今後も発展していくとしたら、近い将来必ず企業と自治体との癒着問題が起きてくる。
21世紀にもなったのに、いまだに談合や贈賄を根絶できていない。
ふるさと納税はその性格上、そういった腐敗の温床になってしまう可能性が高いと思っている。