ネットの海の渚にて

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ロボット犬を蹴ると心が痛む不思議

この記事を読んだ

この手のロボットはもう2~30年まえからあるけれど、時代とともに動きも本物のそれに近くなってきている。
そうなるとそこに「生命」を感じてしまって見ている側にある種の感情が芽生えてしまうことも不思議ではない。

私のブログを昔からよく読んでいただいている奇特な読者様ならご存知だと思うが、私は昔電気屋に勤務していたことがある。
そのころソニーが作った「AIBOアイボ」を実際に売っていた。

製造元・ソニーに捨てられたロボット犬「AIBO」……“治療”にあたる元エンジニア集団の“使命感” (1/5) - ITmedia ニュース


この記事を読むとわかるがソニーによる修理が終了となってしまってAIBOの所有者たちが困っているという内容だ。
http://www.flickr.com/photos/34234650@N00/79110614
photo by jopemoro

実はこのことは16年前、それこそAIBOを売っていた時に、同僚と話していたことがそっくりそのまま問題になっている。
修理をソニーがやらなくなったら「AIBOが本当に死ぬ」ということが起こるかもなというようなことを話していた。
家電製品なのに、壊れたではなく死ぬということ。

家電製品の補修部品は販売終了後8年間しか担保されない。
それはAIBOも同条件だ。
後継機が出ていたから期間が延長されていたわけで、そういう意味では恵まれていた。




その同僚はいまでも同じ電器店に勤務していて時々話をする機会がある。
最近はルンバが売れているらしい。
その同僚に聞いた話だが、ルンバは他の電化製品と明らかに違うとのことだ。
どういうことなのか聞いてみると面白い話だった。

普通、電化製品が一年未満で故障したら大抵の場合怒られる。
「こんなにすぐ壊れるような不良品売りつけやがって」
「新しいものに交換しろ」
こんな感じで怒られることは多々ある。

ルンバも同様にかなり早いタイミングで壊れることがあるそうだ。
ところが他の電化製品と違うのはお客さんが怒らない。
まず、お客さんは壊れたとも言わないらしい。具合が悪いとか調子が悪いと言ってくるそうだ。
基本的にお預かり修理になるのだが、「はやく直してあげて」と言われるらしい。

もちろんすべてのお客さんがそうではないにしろ、まるでペットを獣医に見せるような光景だと同僚は言っていた。
しかも特徴的なのは購入してから2~3ヶ月で壊れた場合、他の電化製品だと新品交換しろと詰めてくるお客さんが多いにもかかわらず、ルンバの場合それがないと言う。
新しいものに交換しろと言われたことがないそうだ。


見た目が感情移入しやすい動物の形をしていないルンバですら、まるでペットのように扱ってしまう人がいる。
そういうことを考えたら冒頭の「ロボット犬を蹴る」という行為に嫌悪感を覚えるのも無理は無い。
開発のために蹴っているわけだけれど、感覚的にそれを許せない。

冷静に判断すればそれはタダの機械の塊でしかなくて、命のかけらも入っていない。
それでもそこに命の片鱗を見てしまうのはなぜなのか?


日本の伝統的な宗教観としてすべてのモノには魂が宿るというのがある。
その角度から見ると我々日本人がロボットに生命のようなものを感じてしまうのは、よく分かるのだが、冒頭の記事のように西洋人も同じような感覚に陥っているのが面白い。


今後ロボット産業はますます発展して生活の中に入ってくることと思う。
不気味の谷現象を乗り越えるほどの発展を見せたロボットが、将来私達の生活に入ってきたときに何が起こるか、いまから楽しみで仕方ない。

もしかしたらロボットと恋に落ちて結婚しようとして、社会から弾圧されて駆け落ちして心中……。なんてことが起きたりして。
SFバンザイ。