ネットの海の渚にて

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女性が使う「オヤジ化」という言葉に違和感がある話

女性が外見やオシャレなどに気を使わなくなる状態を「オヤジ化」するなどと表現しているものを目にすることがある。
この表現を目にするときに僅かな違和感がある。
それが一体何なのか考えてみたい。


女性がオヤジ化するという状態とは何なのかをまず論じないとならない。
ここでは外見に気を使わずオシャレに無頓着な「未婚」の女性と定義する。
なぜ未婚の部分を強調したかというと私が今まで目にした「オヤジ化」のモデルはいずれも若い未婚女性だったからだ。おそらく同年代の既婚女性はオヤジ化したとしても違う属性になるんだろうと仮定している。



どこに違和感を憶えるのか?
おそらくそれは「オヤジ化」の「オヤジ」の使われ方がネガティブだからだと思う。
「オヤジ化」という言葉が説明なしに通じるためには大多数の人々の共通認識が必要になる。すなわち「オヤジ」とは外見に気を使わずオシャレに興味がない存在であるということは万人に共有されているイメージであることがわかる。
この前提条件がなければ「オヤジ化」という言葉は通じない。
「オヤジ」という言葉には負のオーラが纏っている。

「オヤジ」のステレオタイプなイメージが共有されているのは私も理解している。
事実、大部分の本物の「オヤジ」たちは外見に気を使わずオシャレにも無頓着な人が多いイメージだ。
私も類にもれず「オヤジ」の一員であることをここに付託しておく。


イメージ通りなら別に問題ないじゃないかとも思うのだが何故か引っかかるのだ。
そもそもなんで女性が性別を越えてオヤジにメタモルフォーゼしてしまうのか。
うら若き乙女がオシャレに気を使わなくなっただけで腹の突き出た油ギッシュなおっさん(勝手なイメージ)に変身してしまうのか不思議でならない。
性別を超えるわけだから当然ち○こも生えてくるんだろう。
それほどの恐ろしい呪いは見たことがない。
乙女は油断するとおっさんに「変身」してしまうのだ。
カフカもびっくり。


冗談はさておき、この性別を越えるところにヒントがあるんだと思う。
乙女はやがて「おばさん」になる。これはどうしようもないことだ。
個人で時間的格差はあるだろうがいずれおばさんの属性を帯びるのは避けられない事実である。
「おばさん化」と表現せずに「オヤジ化」とするのはあえて対局にあるイメージを冠することで自己防衛を図っているように思える。

「このスイーツ食べちゃったらあたしデブになっちゃう♡」
あきらかにスマートでスタイルのいい女が一口か二口で食べられる程度の甘味を口にしたとしてもデブになるわけがない。
デブとはBMIが30以上である。
もしそのスイーツひとつで突如BMIが30超えしたならば物理法則の崩壊だ。
要はありえない例えを出すことで自己防衛を図っているのだ。


「おばさん」はやがてくる自分の未来の図。しかし「オヤジ」にはどうやってもならない。
この絶対にそうはならないという意味が内包されていることで乙女たちは自虐風に語るがそこにはちゃっかりと保険がかけてある。
それが透けて見えるからこの表現を目にすると違和感があるのだという結論になった。

綾瀬はるかがドラマ「ホタルノヒカリ」で演じた『干物女』はとても良いネーミングだと感じた。(干物女とオヤジ化は同じ意味ではないけどね)
これには自虐とアイロニーを感じる。
しかし「オヤジ化」には彼女たちの「オヤジ」に対するdisが内包されている。
言ってみれば意図せず流れ弾がオヤジに当たっているのだ。

こんなときばかり都合よく「オヤジ」を使うなよ。

リアルオヤジの私からは以上です。

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