先日、私の愛する後輩とカルボナーラの作り方でこんな会話をした。
後輩「まあ、先輩が全卵か黄身だけ使うかは置いといて、僕の場合はパルメザンチーズをですね、大さじ2杯ほど……」
私「おい、パルメザンチーズだと!?クラフトの緑のやつか?」
後輩「え?だって粉チーズ入れるでしょ」
私「入れるのはパルミジャーノ・レッジャーノだろ(机バーン)」
後輩「(うわ、こいつめんどくせーな)」
パルメザンチーズとパルミジャーノ・レッジャーノは似て非なるもの
後輩に対して偉そうに講釈をたれた私も、実は数年前までパルメザンチーズとパルミジャーノ・レッジャーノを混同していた。
パルメザンチーズのことを現地の言葉でただしく言うと「パルミジャーノ・レッジャーノ」になるんだと勘違いしていた。
それは例えば車メーカーの「ジャガー」のことを「ジャグワー」と言い続けた徳大寺有恒御大のように、「現地で呼ばれてる発音に合わせたらオシャレでしょ運動」の一貫だと思い込んでいて、正しく理解していなかったという始末。
パルミジャーノ・レッジャーノとは何か?
簡単に言うとイタリア北東部にあるエミリア=ロマーニャ州の地で作られて、かつD.O.Pの認可を受けたものだけが「パルミジャーノ・レッジャーノ」という名称を使うことができるという、イタリアチーズの王様と理解していただければよい。
味は旨味を多く含んでいて、芳醇で濃厚。
日本では削って粉状にするのが一般的だが、粗みじんに刻んでオイルと混ぜたり、あるいはバルサミコ酢に漬けたものを薄くスライスして酒のアテにしたりと書ききれないほど様々な使いみちがある。
D.O.Pというのは正式名称「デノミナツィオーネ・ディ・オリージネ・プロテッタ」という、イタリアにおける品質認定表示のこと。
認可を受けたものは上の画像のように「DOP」と刻印が押される。
では「パルメザンチーズ」とは何なのか?
おそらく「粉チーズ」と聞いた場合、多くの人はこれをイメージすると思う。
冒頭で出てきた私の後輩がまさにこれで、多くの日本人はおそらく粉チーズ=パルメザンチーズという図式になっているのではなかろうか。
クラフトのパルメザンチーズはパルミジャーノ・レッジャーノと製法が違う。
正式なパルミジャーノ・レッジャーノは少なくても12ヶ月以上の熟成が必要だが、クラフトのパルメザンチーズは金額的に安く提供するために製造工程が大幅に簡略化されている。
そのため本物のパルミジャーノ・レッジャーノに比べると非常に安く提供されているが、やはりコクや香りや旨味はどうしても劣る。
最後に
少しお高めのパスタ専門店なんかに行って、チーズ系のメニューを注文するとパフォーマンス的に目の前でパルミジャーノ・レッジャーノを削ってかけてくれたりする。
そういうところで食べたパスタを家で再現しようとしても、なんだか物足りない味にしか仕上がらなくて、おかしいなと思っていたのだが、要はその味はパルメザンチーズでは出ないということにようやく気がついたのが数年前だった。
そのときにパルメザンチーズとパルミジャーノ・レッジャーノが似て非なるものなのだと知ったのだ。
パスタにはオイル系だったりトマト系だったりチーズ系だったりと、いろんな種類がある。
チーズ系の代表作は「カルボナーラ」だと個人的には思っているが、使うチーズをちょっと贅沢をしてパルメジャーノ・レッジャーノに変えてみると「うわこんなに違うのか!」と驚かれると思うので、少しお高いが削りたてを使ってみていただきたい。