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ネットの海の渚にて

私の好きなものを紹介したり日々のあれやこれやを書いたりします

下田市の津波対策の防波堤建設計画について

コラム ニュース

下田には私の叔母が住んでいる。
駅前の料理店を夫婦で営んでいて、独立したいとこ2人もそれぞれ市内に店を開いている。

私も子供の頃はこの下田の叔母の家によく遊びに行っていたし、二人のいとことも真っ暗になるまで海で泳いだりした。
夏休みの半分くらいは下田で過ごすという生活を小学校卒業までは続けていたから、第二の故郷のような感覚を持っている。
今も一年に1回は顔を出して叔母といとこの店を冷やかしに行く。

1年ほど前にいとこから下田に津波対策の為の防波堤を作る計画があるのだという話を聞いた。
反対派と賛成派で二分されるからいろいろと軋轢も生じていると聞いた。




津波対策の防波堤建設計画

内閣府が第4次地震被害想定を発表したのだが、その内容は地元民からすると相当にショックな出来事だった。
以下の表に津波の高さと地震発生から到達するまでの予想時間が書いてある。

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http://goo.gl/skMQa1


この到達時間は第一波であって、本格的な津波はもう少し後に到達する。
資料は地区ごとに細かく算出されているので、ざっくりと約15メートルの津波が15分~20分で押し寄せるのだと理解していただければいい。

衛星写真を見てもらうとわかるが、下田市は中央に流れる稲生沢川の両岸に張り付くように市街地が形成されている。
f:id:dobonkai:20160128173151p:plain
津波というのは皆さんご存知だと思うが川を遡る。
下田港に到達した津波は稲生沢川をすさまじい速さで駆け上り、両岸の市街地を次々に水没させることになる。
以下の図のような浸水被害が予想されている。

f:id:dobonkai:20160128170659p:plain
http://goo.gl/skMQa1


下田というのは伊豆の中でも珍しく標高差が少ない。中心部の標高は海抜2メートル程度しかない。
稲生沢川を中心に平野部が広がっていてそこに全てが集中しているから、津波から逃れるだけの高さがある場所が遠いということになる。
もちろん市内にあるビル等も避難場所に設定されてはいるものの、数は決して多くない。

下田市津波ハザードマップ


避難に使える時間が20分しかない

東北の震災のケースでは地震発生から津波の到達までは40分程度時間があった。
それでもあれだけの大きな被害が出た。

南海トラフの巨大地震の場合は、震源が近いため津波到達までの猶予時間が短い。
第一波に関しては10分程度で到達してしまう予想になっている。

最大でも20分ほどしか猶予がないという現実を鑑みると、市民全員を高台まで避難させるという計画そのものが物理的に不可能と考えたほうが良い。

そういったことを含めて防災、減災という観点から下田港に防波堤を建設するという計画がある。

f:id:dobonkai:20160121231353j:plain
『自然を守ろう』13.5メートルの堤防が伊豆のビーチの目の前に? | WAVAL サーフィンと自然を愛する人のサーフメディア

いくら津波対策とはいえ、こういった壁のような防波堤を作ることは、観光の街である下田に相応しくないという声が一部で上がる。
署名運動もやっているらしい。

今伊豆の海がなくなろうとしています。ビーチの目の前に大きな13メートルもの防潮堤ができる計画が進んでいます。そして海、白い砂浜、綺麗な澄んだ水、子供達の笑顔、が全てなくなろうとしています。それも気づかぬうちに。今しかないです。そして数日後には伊豆には海が無くなるか、そのまま残るかが浮き出ることになります。ぜひ力を貸してください、すこしでもいいので耳を傾けてください。みんなで自然の恩恵を守りましょう!!!
キャンペーン · 伊豆の海をそのままに · Change.org


で、この発起人を調べてみると
こんな人らしい。

f:id:dobonkai:20160128172207j:plain
進士剛光 TAKAMITSU SHINJI
生年月日:1982/4/3
スタンス:グーフィー
伊豆出身、伊豆在住
ホームポイント:大浜
血液型:A型
http://www.surf-reps.com/howto/shinji/

下田は確かに観光の街だ。
だからといってサーフィンの客だけで成り立っているわけではない。
魚釣りの客もいるし、温泉を目当てに来ている客もいる。
それに下田は伊豆7島へ渡る玄関口という側面もある。

いつくるかわからない震災のために防波堤を作るのは確かに景観という面ではマイナスだと思う。
波に乗るというスポーツだから、もしかすると潮の流れが変わってサーフィンが成立しなくなるかもしれない。


だが、津波が来たら避難する間もなく被害に遭う可能性が高いまま、その問題を放置して良いものなのかというのは地元市民の間でも二分していると聞く。
景観を守りサーフィンがこれからも続けられるように防波堤建設に反対するのか、人命優先で減災防災の為に無機質なコンクリートの防波堤を受け入れるのか、いずれにせよその判断は地元市民がしなければいけない。


私の二人のいとこは共に結婚していて小さな子供がいる。
その子供達やさらにその先の代まで安心して下田に暮らせるようにするにはどういった決断が必要なのかは、やはり実際にそこに住んでこれからも生活していく人たちが決めるべきことであって、たまに遊びにくるような者が口を出すのは違うのではないかと私個人は思っている。


下田市役所の移転問題でもそうだ。

震災時に陣頭指揮を取るべき市役所が、震災予想だと水没地域になっている。
そのため山間の場所に移動するという案が出ているがこれも市民を二分する問題になっている。
中心街にある市役所が移転してしまうことで、大きな空白地が出来てしまう。
そこで商売を営んでいる人たちから、移転しないでほしいという嘆願が出ている。

防波堤も市役所の移転も、それぞれの立場で異なる利害が発生しているために喧々諤々の状態に陥っている。

今年の7月に下田市長選がある。
争点は市役所の移転問題になるはずなので注視していきたい。
www.at-s.com
下田市民が利を取るのかそれとも防災を取るのかの試金石になる。