恐怖心を煽る手法はそろそろやめにしませんかっていう話
私の父と母の情報供給源は、9割方テレビが占めている。
新聞も老眼が進んで読むこと自体が苦痛になったらしく、届けられた新聞は右から左へと読まれないまま古新聞になっている。
そんな世代だからネットなんてものを使いこなせるわけがない。
パソコンやタブレットを使わせようと何度かチャレンジしたけれど、むしろストレスになるようだったので諦めた。
だから両親はテレビから流れてくる情報を頼りにしている。
70代に入った両親にとって一番の関心事は健康だ。
健康を扱ったテレビ番組というのは思いの外多い。
おそらくだがこういった番組は数字が取れるのだろう。
母はそういった健康を扱った番組を逐一チェックしているらしく、放送日をメモしたものが冷蔵庫に貼ってある。
たまに一緒にそういった番組を見ることもあるけれど、全ての番組とは言わないまでも、多くの番組において、主に「恐怖心」を煽る手法が使われていると感じた。
恐怖心を煽る手法
○○をしないと✕✕になってしまいます。
そうならないために△△しましょう。
例えばこういう手法だ。
「血液サラサラ」にしないと「脳梗塞」になるから「たまねぎ」をたくさん食べましょう。
これはあくまでも例だが、こういったことをやられると私の両親は、まるまる信じてしまう。
そもそも血液サラサラドロドロの定義もあやしいもんだし、そこから脳梗塞の発生率が上昇するという客観的なデータも無い。
挙句の果てには、玉ねぎのある種の成分が血液をサラサラにしますと言うのだが、その改善率も提示されない。
科学的にはダメダメ過ぎるけれど、テレビだとそれで成立してしまう。
それなりの肩書を持った人が解説をして、ゲストのタレントが驚いたり感心したりをオーバーなリアクションで視聴者に訴えかける。
こういった番組構成で、それを見たうちの両親はまるきり信じてしまって、翌日のメニューは玉ねぎがふんだんに使われることになるのだ。
今までだってバナナや青魚、大豆製品だったりヨーグルト等など……。様々な体に良いという食品をテレビで憶えてそれを食べるということを繰り返してきた。
両親がただの情弱だと言ってしまえばそれまでなのだが。
テレビが嘘を言っているとは言わない。
玉ねぎに血液をサラサラにさせる効能は確かにあるんだろう。
しかしながら老人というのは食が細いわけで、玉ねぎが体に良いと聞けばそれを過剰に盛り込んだ食事になってしまって、他の食材が不足することだって充分ありうるわけだ。
逆に食事のバランスが崩れてしまって、健康を害することも考えられる。
こういった手法がもたらす弊害だと言ってもいいかもしれない。
不安を煽って視聴者を釘付けにする手法は視聴率的には効果があるのだろう。
テレビ以外でも多くの場面でこの手法を見ることが出来る。
マーケティングの基本でもある。
ブルーライトの記事を先日読んだが、あれなんかはまさにこの手法でマーケティングしている。
いわゆる御用学者にブルーライトは危険であるというような証言をさせて、それを元に広告を作って恐怖心を煽る。
ブルーライトに害は認められないという研究結果もあるのだが、両論併記は一切しない。
そりゃそうだ。ブルーライトに害がなくては商品が売れないからだ。
このブルーライトの件は後日改めて記事にする。
恐怖心を煽る手法は以前よりそのやり方に批判が集まっていたけれど自分の両親を見ると、このやり方の悪質さが良く分かる。
規制しなくていいのかね?このやり方。