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ネットの海の渚にて

私の好きなものを紹介したり日々のあれやこれやを書いたりします

DQNじゃないのに大喧嘩になっちゃった話(DQNシリーズ第5話)

今回はDQNシリーズ第5話です。
以前の話をまだ読まれていない方はこちらからご覧になってください。
"DQNシリーズ" - 記事一覧 - ネットの海の渚にて

ではどうぞ。

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DQNシリーズ第5話

英検2級を持ち日本語をしゃべる天才ゴリラことO君が突然ボクの家に来た。
バイクの音がうるさいから近所の公園が待ち合わせ場所だったがその日はアポ無しで突然やってきたのだ。
しかも脇にあるのは見たこともないスクーター。
記憶があやふやだが当時流行った「蘭」だか「薔薇」だかわからなかったがまあそんなバイクだ。
いつものイカツク改造された「ゼッツー」じゃなかった。

「バイクどうした?」
「盗まれた」
そう言ったO君は今まで見たこともないような顔つきだった。


実はこの「ゼッツー」ことZIIはO君が敬愛してやまない先輩から譲り受けたバイクだった。

O君いわく「気合の宿った鬼バイク」とのことでボクから見れば趣味が悪すぎて頼まれても乗りたくなかったがあまりにもO君が溺愛していたので仕方なく後ろに乗ったりしていた。

この時O君は地元の暴走族に所属していてしかも副総長だった。
数年前までは小さな暴走族グループが何個もあって抗争を繰り広げた結果一つのグループに統一されたそうだが、その辺りの話は興味が無かったので詳しくない。確かに当時は地元に一つのグループしか存在していなかった。
ある意味では「平和」な時代だったらしいがそんな時代でも必ず跳ねっ返りは登場する。

どうやら人数は不明だが新たなグループが立ち上がったらしい。

O君がバイクはその連中によって盗まれたと言っているがどうも信用ならない。
どうしてそんなことがわかったのかとO君に問いただすとさすが副総長だけあってそのネットワークは恐ろしい。
グループに属さない奴がO君のZIIに乗って走り回っているのを目撃した者がいたそうだ。

O君のバイクはあまりにも特徴的(ダサい)なので見間違う確率は低い。

構成員が200~300人もいるって怖いなぁと思っているとO君が取り返しに行くから付き合ってくれと言う。
どうせ修羅場になるのはわかっていたから途轍もなく行きたくなかったが途轍もなくつぶらな瞳で見つめてくるから途轍もなく嫌だったけれど付き合うことにした。
ボクは喧嘩を回避する技術を日々研鑽していたからなんとかなるだろうと思っていたがそんなにいつも上手く行くはずも無い。


O君が仕入れてきた情報によると新たなグループは町外れの工場地帯にたむろしているらしい。正確な人数は不明だが10人以下とのこと。
今からすぐ行くというからこっちは何人集まるのかと聞くとO君はあっさり「俺とおまえ」と言うもんだから目の前が真っ暗になった。
先日のエントリーで説明したようにボクの喧嘩回避術は最悪でも人数が釣り合っていなければ成功しない。こちらの人数が少ない場合は100%無意味である。
それでも行くと言ってしまった以上後には引けない。
ボクはバイクで現場に向かっている最中O君の背中を睨みつけて呪っていた。


時間はもう夜10時を回っていた。

現場付近でエンジンを切った。
もう廃工場になってしまった駐車場からバイクのエンジンを吹かす音が聞こえた。
「やっぱりいるな」
「何人いる?」
ろくに明かりが無いからよく見えなかったがどうも5~6人らしい。
そのうちバイクにまたがっているのが2人。その廻りで談笑しているのが3人。ただ暗がりにもいる可能性があったので正確な人数はここからでは確認できない。

「どうする」とボクが聞くと「真正面からに決まってるだろ」とO君が言ったが何故か笑っているように見えたのが怖かった。
人数差があるのになんの作戦も練らず真正面から向かっていくO君は確かに男らしくて格好いいがそれに付き合わされる身になって欲しい。
止めても無駄だと知っていたからボクも覚悟を決めて並んで歩いた。
歩いて近づくに連れてO君は自分のバイクがそこにあることを目視したらしくいきなり怒声を上げながら走りだした。
ボクは一瞬面食らったが一人で行かせるのは申し訳なかったので追いかけた。


それからは予想通り修羅場だった。
本来人間というよりもゴリラに近いO君は激しい怒りからキングコングに進化してその喧嘩の強さは尋常ではなかった。
2~3人同時に相手をしても圧倒的だった。
そんな姿を横に見ながらボクもどうにかやりあっていたのだがこの時に受けたアゴへの一撃が今でも季節の変わり目に痛む。


O君の獅子奮迅の活躍とボクの僅かながらの健闘で無事ZIIを取り返すことができた。

帰り道、さすがのO君もところどころ痛むらしくその痛そうなところに向かってボクはパンチした。
O君は「一緒に来てくれてありがとな」と言ったから「もう絶対にバイク盗まれるんじゃねえぞ」と言ってO君のケツを蹴った。


この件をきっかけにしてO君のバイクを盗んだ新たなグループは消滅した。

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