ネットの海の渚にて

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当時のテレビは「世界」につながっていたような気がするって話

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photo by Helga Weber

俺が子供のころは自分の部屋にテレビがあるってのは、そりゃあ大きなステータスだった。
当時のテレビの深夜帯はいわゆるエッチな番組がバンバン放送されていた。
今の時代からは信じられないかもしれないが、女性のヌードが地上波に流されていた。

子供が見るドリフでも銭湯のコントなんかで、たくさんの真っ裸のお姉さんたちが志村けんから逃げまわったりしていた。
ゴールデンタイムでそれだから深夜帯はもっと凄い。

11PMやトゥナイトはAVの紹介VTRを流したり、風俗の潜入ルポがあったりした。
年末の特番には野球拳ゲームをやったり、ハケ水車を放送していたりしていたんだから牧歌的といえば牧歌的だ。

野球拳2 1/2 - YouTube



年頃になると男の子はどうしたって女体に興味がわく。
テレビで時折流れる女性の裸をもっとじっくり見たいのだけど、そのころはテレビは一家に一台が普通だった。
だからみんなで見ている番組に突然裸が映しだされたりすると、微妙な空気が流れるのが昭和のお茶の間の風景だった。
そんな状況で画面を凝視できるわけもなく、いかにも興味ありませんよみたいな態度を取らざるを得なかったわけだ。

そうなってくるとどうしたって自分の部屋にテレビが欲しくなる。
当時は14型テレビでも4~6万円くらいした。
でも中学生くらいになるとお年玉や月々のお小遣いを遣り繰りしたら、全く不可能な数字でもなかった。

実際俺はお年玉を二年分ためてSONYの14型テレビを買った。49.800円だった。
14型と言ってもトリニトロンの冠を授かっていたので、なかなかかっこよかったし写りも良かったと思う。

この時にアンテナ線の分配工事なんかを全部自分でやったのがその後、電器店に就職するきっかけになったような気がするが関係ないかもしれない。


これによってついに自分の部屋にテレビが設置されたわけだけど、当然毎日のように11PMを見ていた。
その後また小遣いをためてFUNAIの再生専用ビデオデッキを買ったけれど、なぜそんなものが必要になったのかは説明不要だろう。
(当時のレンタルビデオ屋は結構ガバガバで中学生でもゴニョゴニョできた)


性の目覚めみたいなものは誰しも訪れるもので、その需要をどうやって満たしてやるかは、当時は個人で大きく違ったはずだ。
でも今の時代はおそらくスマホになるんだろう。

いろんなセーフフィルターみたいなものがあったとしても、その年代の男の子の性への欲求は恐ろしく強い。それくらいの障壁は軽々乗り越えてしまうのだと思う。
エロのモチベーションは偉大なのだ。


当時のテレビはただのモニターでは無くて、その画面の向こうにまだ見ぬ「世界」が広がっていた。
好奇心を満たしてくれるものが画面の向こう側に、きっとある気がしていたものだ。

今の子供達が持っているスマホは画面のサイズこそ小さいけれど、その向こうに広がっている世界はテレビの比じゃない。
比喩じゃなくて本当に「世界」と繋がっている。

そういう意味では恵まれているなぁとも思うけど、昔の悪いことしてるっていう後ろめたさがビシビシあった頃も良かったなぁと懐かしくもある。