手段と目的が入れ替わる現象
前年よりも売上をアップさせるという「目的」を掲げて、それを達成するためにはどうしたらいいか、というようなことを会議でやる。
その答えは「客先への訪問数を今より増やす」というような案が出てくる。
まあ一番当たり前だし、これに勝るものもそれほどなさそうな気がする。
なので会議の決定事項として、今までが一日あたり10件訪問して営業をかけていたのなら、その件数を増やそうということになる。
前年比売上20%アップを目標とするのなら、一日の訪問数も20%アップの12件にしたら計算は合うはずだ。
しかしそうならない。そんなにうまくいかないのが現実だ。
そもそも、毎日の訪問件数だって日によって増減はある。
常に上からプレッシャーをかけられて追い込まれているから、日に訪問10件という数字自体がすでに物理的にも時間的にも「ギリギリ」ということはザラにある。
そんな現状を無視して訪問件数を増やせという新たなプレッシャーをかけられるから、一件あたりの営業が手薄にならざるを得なくなる。
要は訪問先での滞在時間を短縮するくらいしか、訪問件数を増やす手立てが無いのだ。
結果として、一日あたりの訪問件数は増えたが、契約件数が以前より下がるみたいなことだって起こりえる。
こうなったらまさに本末転倒なのだ。